居間のソファにはまるで、家の主人であるかのように寝転んで雑誌を眺めている一人の女の子がいた。

「ただいま、花蓮ちゃん」

俺をほんの少し一瞥して……

花蓮

「ん……」

と呟いたあとで、再び雑誌へと目を落とした。

こいつは俺の妹の花蓮。

ただいまの一言にも大きな態度を崩さず、返答もかなりそっけない。

「何読んでるんだ?」

コミュニケーション不足を感じた俺は、果敢にもやや反抗期の妹に突撃した。

花蓮

「ちょっと、邪魔」

「…………」

ほんとそっけない。

いや、気にしちゃいけない、気を取り直してもう一度……

「おなかすいてるだろ。すぐにご飯の用意するからな」

花蓮

「いい、もう食べたから」

「あ、そう……」

お兄ちゃんがいるんだから、一人で先に食べなくてもいいじゃないか!

という言葉がつい喉元まで迫っていた。

花蓮

「何? 文句あるの?」

こっちは仕事から帰ってきたんだ。ご飯を食べるなら食べるでせめて連絡があってしかるべきじゃないんですかね、この野郎!

てなことを心で思って言葉にだすかどうか、思い悩んだ。

そろそろ妹を叱りつけ、兄としての義務を果たすべきではないだろうか?

花蓮

「ふん……」

そんなことを考えている間に、妹は自分の部屋へと帰っていった。

「はあ……」

 

反抗期かな……やっぱ?