【一純】
「これだから水泳ばかりやってる筋脳は困るのよね。少しは繊細な神経というものを養っていただきたいものだわ」
【一純】
「ノブレスオブリージュってご存じ? 文化を理解し育てることが、一国を代表する聖志館の子女たる者の義務なのよ」
【一純】
「水泳しすぎで半漁人に退化したあなたには、ちょっと難しかったかしら? ふふ……上流階級はいつも文化の養い手なのよ」
【美優】
「手術で悪いところ治ったみたいだけど、一番悪い頭は治せなかったみたいね」
【一純】
「はあ? 喧嘩売ってるのあんた」
【美優】
「あら、なんて繊細な発言かしら。沸点の低さは相変わらずね」
【美優】
「大層にいってるけど、その文化とやらは放課後に部室で集まってお茶することなの? 大抵の文化系のクラブが実態がそれじゃない」
【美優】
「パトロンきどってお金ばら撒きたいのはわかるけど、あなたの趣味のために、体育会のほうにまで迷惑かけないで欲しいわね!」
【一純】
「地区予選の勝ち抜けないクラブに、予算なんて必要ありませんわ!」
にらみ合い火花を散らす、花園の乙女たち。
ああ、ここはもっとも現世から遠く離れた場所ではなかったのか……