エーミール「初めてお目にかかる、私はヴィッターハイム公国第一公子、エーミール・ヴィッターハイムだ!」
英次「なっ……」
なんだ、あいつは一体!
エーミール「我が剣の主たるヴィッターハイム公王陛下の名のもとに、降伏を勧告する!」
英次「ちょ、なにアレ? すっごいキンキラキンの王子様みたいなのが、ぶっそうなこと言ってるんだけど?」
徹生「あの方こそ、ヴィッターハイム公国の第一位継承者、エーミール・ヴィッターハイム殿下だ」
英次「あれが? あれが姫様の兄なの?」
リーゼ「不詳の兄です」
今の言い方、郁乃のおじさんへの接し方に近かったな……
ひょっとして、兄弟仲はあんまり良くないのかもしれない。
※中略
ドナ「それまでです」
英次「……!」
俺が数歩近づくと、傍に居たメイドが俺の前に立ちふさがった。
ドナ「それ以上近づくとやっちゃいますよ? この距離ならはずしません
英次「…………」
なんだこの人……やばい雰囲気がぷんぷんする。
ひょっとして、まじで殺るつもりなのか?
エーミール「やめなさいドナ。僕は話し合いに来たんだから」
英次「話し合い……だと……?」
エーミール「そうだよ、男と男として一対一で話合おうじゃないか! 安心したまえ、僕は丸腰だ」
英次「お前はそうだけど、その物騒な武器持ってるメイドは何なんだよ!」
エーミール「この娘は人じゃなくてモノだよ、彼女に人権はない。よって君が死んでも事件じゃなくて事故として処理すから安心したまえ」
英次「安心できるか!」